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病で死にかけているお金持ちの患者が、生き続けることを希望しました。
医師は脳だけを取り出して培養液につけて保存しておく方法を提案しました。
「そのうちに脳の意志で操作できるマジックハンドも開発されるし、
人工の発声器官もできる。視神経にレンズのついた電子光学的装置を取り付けることもできる。
理論的には何百年も生きられる」という医師の甘い言葉に誘われて、同意した彼。
(以下、本文より抜粋)

麻酔が切れた後、激痛が襲った。
すべての末梢神経を切断されたその痛みは、およそ今まで彼が経験したこともない激しい痛みだった。
・・・(中略)・・・悲鳴をあげようにも発声器官はなかった。
この世のものとも思えぬその苦しみを他人に伝える手段はひとつもなかった。
彼はただ、痛みを感じ続ける存在でしかなかった。
外見上、彼は培養液の中でのんびりと、安楽そうに、ひっそり静かに浸り続けている一つの脳である。
だがその脳が今、どのような苦しみを味わっているか、見る者にさえわからないのだ。
死んだほうがマシだ、と彼は思った。誰か私を殺してくれ、この培養槽をぶち壊してくれ。
・・・だがその願いは誰にも届かない。今の彼には自殺の自由さえない。
絶叫もできず、泣くこともできないまま、彼は苦しみ続ける。
いつまで続くのか。いつになったら終わるのか。
気の狂いそうな激痛の中で、彼はぼんやりと、医者の言葉を繰り返し、繰り返し思い出していた。

「理論的には何百年も」

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